[2019/10/20]
【MBTI解説】主機能と補助機能の違い【J型編】
各タイプの持つ優勢機能において、
類似点・共通項が見られることもあれば、
逆に相反する性向が存在していたりする。
それらを改めて認識することによって、
そのタイプについてより深遠な理解に到達することが出来るだろう。
今回はJ型の優勢機能同士の違いについて考察していきたい。
【ESTJ・ISTJ】の優位機能Te・Siの違い
[類似点・共通項]
・秩序
・マニュアル志向
・前例主義
・権威主義
両機能は物事が「秩序」立っている状態を好むという点で類似している。
Teにおいて、
標準的な体系や規則に基づいた判断プロセスを辿り、
そこには常に一定の秩序が存在している。
Siにおいても、
その変化に敏感な性向により、
人一倍秩序を求める意識が強い面がある。
物事に確立された道筋を求めるという点では「マニュアル志向」の強い機能同士ともいえる。
Teは明確な既存の方法を重視しているし、
Siも物事を手順通りに正確にこなすことを好む方である。
両者とも起こった事実に重きを置いており、
その意味では「前例主義」的でもある。
ESTJにおける厳格さは、
上記のようなマニュアルや前例に対する意識の強さに由来している部分が大きい。
「権威主義」者でもあるため、
組織や年長者に従属的であり、
逆に目下の人間に対しては管理的・支配的な態度が目立つ。
これはTeが既存の枠組みによる判断を重視すること、
Siが経験や慣習を重視、
即ち目上の存在を重用することに起因している。
[相違点]
・リーダーシップとフォロワーシップ
以上のように類似点・共通項の多い機能同士ではあるが、
「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」という点で対照的な面を持っている。
無論Teが前者、
Siが後者の気質を有している。
標準的なフレームワークに準拠することこそ、
理に適った判断方法であるとするTeにおいて、
その枠組みの中で人々を管理・統括することは自明の理といってもよいだろう。
従って厳密に言えば、
リーダーシップとフォロワーシップの両方を備えている機能といえる。
対するSiの場合、
経験や習慣の範疇或いは延長線上で物事が展開していくことを望んでいるため、
行動指針としてより多く、
またはより深くそれらを携えた人間に付き従うことを良しとする。
つまりフォロワーとしての忠実さに優れるタイプといえる。
ESTJが巷で幹部や現場監督に喩えられる理由については、
上記のように対照的な機能を優位機能として持っていることに依る所が大きい。
【ENTJ・INTJ】の優位機能Te・Niの違い
[類似点・共通項]
・客観と俯瞰
・リーダーシップ
客観的事実や標準的な枠組みに基づいた判断プロセスを志向するTeと、
全体像の俯瞰から事実同士を結び付けるNiは、
共に「客観と俯瞰」という点で類似している。
ある意味で人や現実から距離を置いている機能同士ともいえる。
しかしそれ故に、
Teにおいては冷徹で厳格な判断力として、
Niにおいては自律的な思考力といった形でその性向が発揮されている。
言わば「リーダーシップ」に富んだ機能同士であるといえる。
従ってENTJとINTJは共に、
組織や集団の最上位に対する強い適性を有しており、
とりわけNiがポイントといえる。
自身が抱く理想やイメージ、
即ち実体のない概念的なものを拠り所にしているため、
何事においても自分頼みの姿勢を貫くことになる。
つまりその独立心の強さによって、
良くも悪くも最上位のポジションに収まりやすいタイプ同士となっている。
[相違点]
・客観的事実と洞察/イメージ
・現実と理想
・帰納と演繹
リーダーシップという点ではかなり似通った部分を有する機能同士ではあるが、
むしろ相違点の方をより多く有しているといっていい。
第一に「客観的事実と洞察/イメージ」という点で両機能は対照的な側面を持っている。
客観的事実や既存の枠組みに従って物事の判断を行うTeと、
意識下・無意識下の情報を統合することによって導かれるパターン認識や理論から、
対象の本質やイメージを洞察するNiにおいては、
客観性の有無の点で相反している。
Teが既成事実に、
Niがビジョンに重きを置いているという点で考えるならば、
その相違点を「現実と理想」「帰納と演繹」に喩えることが出来るだろう。
類似点の項目でも述べたように、
Niという機能はあくまでも自分ありきであるため、
未来に対して演繹的に理想を追求する傾向が強い。
過去の情報を参照するという点では帰納的と言えるかもしれないが、
あくまでもそこから導かれる未来に重点あるため、
やはり演繹的な性向を有する機能であると言うべきであろう。
【ESFJ・ISFJ】の優位機能Fe・Siの違い
[類似点・共通項]
・秩序
・権威主義
・人目を気にする(形式張る)
・サポーターとフォロワー
Feにおける人間関係の調和を重んじる性向と、
Siにおける外界の変化に消極的な性向は、
「秩序」を求めている点において共通している。
Siは勿論のこと、
Feにも保守的な側面が見受けられる。
「権威主義」的でもあり、
既存の価値観に従い、
新規性よりも信頼性の方に重きを置いている。
秩序と権威を重視する一方、
良くも悪くも「人目を気にする」タイプで、
形式にこだわる側面も似通っている。
Feの皆と価値観を共有する側面、
Siが手順や習慣に倣うことを良しとする側面によって生じる傾向といえる。
上記のような資質を考えれば、
両機能ともリーダーというよりも追従するタイプといえる。
両者をより細かく分けるならば「サポーター」と「フォロワー」と表現できるだろう。
Feが皆を支援したり奉仕する趣が強く、
Siが忠実さと責任感によってリーダーに奉公するタイプであるからだ。
とはいえ先述したように、
リーダーを追従する気質を共通している。
そのため、
人間関係の調和の中でその資質を発揮できるという点において、
ESFJとISFJの両タイプは共通している。
[相違点]
・社交性
前項のように類似点・共通項の多い両機能ではあるが、
明確な違いとして「社交性」の有無が挙げられる。
無論Feの方が社交性に富んでおり、
Siはその逆となる。
言うなればFeが縦にも横にも意識が伸びているのに対して、
Siは横に対する意識が希薄な面を持っている。
要するに人間関係全般に意識が伸びるFeと、
上下関係に意識が傾きがちで、
その他の人間関係に意識が向きにくいSiの違いといえる。
大まかにいえばE型とI型に見られる全般的な違いの話ではあるのだが、
Feであるため比較基準が人間関係に偏っている。
【ENFJ・INFJ】の優位機能Fe・Niの違い
[類似点・共通項]
・調和と統合
FeとNiの類似点・共通項として「調和と統合」が挙げられる。
Feは周囲の人間の意見等を踏まえコンセンサスを目指し、
一方のNiは無意識化の情報を包括し統合することで、
物事に対するイメージや理論を構築させていく。
従って両者には調和と統合という点でよく似通った部分を持っている、
と言いたいところなのだが、
これは強引な考察と言わざるを得ないだろう。
何故なら、
人間関係に焦点が当てられているか否かという部分で両者が相違しているからである。
先にも述べたようにあくまでもFeにとって重要なのはコンセンサス、
即ち根拠は常に人間に由来している。
対するNiはあくまでも知覚機能であるため、
その意識は情報そのものに向けられている。
強いて言えば、
いずれの機能も大勢や複数をまとめあげて、
一つの方向に導いていくという点では似ているといえる。
[相違点]
・サポーターとリーダー
前項に続く形ではあるが、
両者には「サポーターとリーダー」という相違点があるといえる。
つまり全体を一つにまとめるプロセスに違いが見られるということである。
コンセンサスを目的とする性質上、
横並び意識が強くなりがちなのがFeの特徴の一つである。
なのでリーダーとして浮き上がるよりも、
サポーターとして支援する方がその性向に適している。
対するNiは内向機能且つ直観機能であるため、
非常に自律的な意識を持っている。
何事も自分から始まるという性向上、
こちらはリーダーとして先導する立場の方が適している。
言わば博愛主義的なFeと個人主義的なNiという点において対照的な機能同士といえる。
なので、
とりわけINFJについて、
柔和な外面と非常に自律的な内面とのギャップに他者が驚くことがある。